トップページ  > コラム記事一覧 > 【10秒解説】避雷針の保護角とは

2021.04.30(金)

【10秒解説】避雷針の保護角とは

落雷対策として設置される避雷針(ひらいしん)には、「保護角」と言われる決まった角度があります。
この保護角とは、どのくらいの角度を表しており、なぜ決められているのでしょうか。
本記事では、避雷針の保護角の範囲や基準について解説していきます。



避雷針には適切な保護角がある


避雷針には、保護範囲が決まる角度が設定されています。
この保護角とは、雷から人や建物を守る基準として定められている規格です。
その角度は、建物によってもそれぞれ異なり、保護できる範囲の目安として制定されており、保護角が大きければ大きいほど広範囲を保護できます。
保護角は、建物の高さに比例して保護レベルが異なり、建物の高さと保護レベルを比較することで保護角度が決まります。

 

新JISの避雷針保護角

 

新JISの避雷針保護角について、新JIS規格の定義から機能について説明していきます。

 

そもそも「新JIS規格」とは?

 

日本では、もともと旧JIS規格というものが基準とされていました。

しかし旧JIS規格は日本独自の規格であったこともあり、2003年にはIEC(国際電気標準会議)という世界規格に合わせた新JIS規格が導入されました。

 

新JIS規格では、特に雷保護における基準が厳格化されており、避雷針の保護角に関してもより高さと効率を重視する内容に変更されています。

 

とはいえ、現在旧JIS規格が使用されていないわけではありません。

建築基準法の下、双方の規格の採用が許可されているため、実際どちらの規格を採用するかは設計者の判断によります。

 

新JISの保護角

 

新JIS規格では、建物の高さと保護効率が重視され、保護対象となっている建物が高くなればなるほど保護角は狭くなっていきます。

 

建物の高さの限界値とされているのが60メートル地点で、それ以上の高さになると保護角は制定されていません。

建物の高さが60メートルを超える場合、建物の上部よりも側面に落雷が起きる可能性が高くなり、そうなると避雷針で雷を誘導することができないためです。

 

保護システムが雷の被害から建物を保護する確率は、以下のようにレベル分類されます。

保護レベル 保護効率(%) 最大雷撃電流(kA) 最小雷撃電流(kA) 雷撃距離(m) Ⅰ 98 200 2.9 20 Ⅱ 95 150 5.4 30 Ⅲ 90 100 10.1 45 Ⅳ 80 100 15.7 60 保護レベルⅠが最も保護効率がよく、落雷があった際に大事故につながりやすい発電所や給油所、あるいは保存必要度の高い文化遺跡などに適応されます。

 

一方、住宅やグラウンドなどは保護レベルⅢ~Ⅳが推奨されています。

レベルが高いほど保護効率も上がりますが、それでも100%ではないことを理解しておきましょう。

 

落雷が起きた場合、その大きさや角度などは一律ではないため、実際にどこに設置すればどれだけの範囲が保護されるのかを明示することはできません。

そこで、新JIS規格では保護レベルに応じて回転球体法、保護角法、メッシュ法を用いて、避雷針の配置を決めています。

 

保護レベル 回転球体法(m) 保護角法 h(m) メッシュ法幅(m) 20 α(° ) 30 α(° ) 45 α(° ) 60 α(° ) 60超過 α(° ) Ⅰ 20 25 ※ ※ ※ ※ 5 Ⅱ 30 35 25 ※ ※ ※ 10 Ⅲ 45 45 35 25 ※ ※ 15 Ⅳ 60 55 45 35 25 ※ 20 ※に関しては、回転球体法およびメッシュ法のみを適用する。

 

そもそも避雷針とは


避雷針は、建物へ落雷したことによる被害を防ぐために設置されている装備です。
建物の屋上に設置されていることがほとんどで、電流が流れる経路を作れます。
また避雷針は、人的被害を防ぐこともできるので、雷が起きた時には、まず避雷針の近くに行くようにしましょう
詳しい避雷針のしくみについては【10秒解説】避雷針の仕組み をご覧ください。

 

 

避雷針の保護角を理解して落雷対策をしよう


いかがでしたでしょうか。
本記事をお読みいただくことで、避雷針の保護角について多少ご理解いただけたと思います。

建物に設置されている避雷針は、建物の高さに対する角度が異なります。
人的被害や建物の被害を防ぐためにも、その原理を正しく理解して、落雷対策を行うようにしましょう。

dinntecoJAPAN(ディンテコジャパン)では避雷針を扱っています。
避雷針設置に関してはコチラからご覧ください

関連記事