2000年
dinnteco避雷針発明のきっかけとなった技術者の“悩み”
落雷現象を発生させない新型避雷針「dinnteco」の歴史は、dinnteco社の前身であるINT.A.R社の誕生から始まります。
後にINT.A.R社を設立する技術者A氏は、自宅の避雷針にしばしば落雷し、それによって電化製品やコンピュータなどが度々故障
することに困っていました。
この当時、避雷針はあくまで、雷を“誘い込んで”“安全に落とす”ためのものでした。落ちる際には大電流が通過するため、電化製
品に大きなダメージを及ぼします。しかしこれは、当時の避雷針では避けられない事でした。
そこでA氏は、従来の避雷針の発想を180°転換し、「“雷を落とさない”避雷針はできないか? 」と考えました。
その着想こそが、現在のdinnteco避雷針の誕生の原点です。(電荷中和型避雷針)
▲ベンジャミン・フランクリンが18世紀に発明した避雷針は、近年に至るまで雷被害対策として唯一の選択肢でした。雷を受けて電流を地中に流すことで、人や建物への直撃を防ぐことができます。
しかし、電気製品・電子機器に高度に依存して成り立っている現代では、この方法は“諸刃の剣”なのです。
2003年
初期型モデルの誕生
雷雲が発生する原理は、今日でも厳密には解明されていません。しかし、雷の正体が電気であり、プラス電荷とマイナス電荷の結びつきが落雷現象であるということは、広く知られています。
そこで、A氏は「電荷による電路の形成がなければ落雷現象が起こらないのでは?」 という仮設を立て、その仮説に基づいて試作機を作って実験を重ねました。
そうして誕生したのが、初期型モデルです。当時は、今よりも球体に近く、ハンバーガーのような形をしていました。
2003年
今日に至るまでの長い試行錯誤と改良のはじまり
初期型モデルを開発し、INT.A.R社を設立して世界で販売を始めたA氏でしたが、ラボでの実験を重ねる内に、本体の球体上部には落雷しないものの、球体下部、また球体を支えるマストの部分に、雷が回り込むように落ちてしまう事があるのがわかりました。
ここから、さらにINTラボでの試行錯誤が始まります。
色々な材質、形状を試す内に、「球体部分を傘のように扁平な形にして、上下球を中央の絶縁部分に近づければ、本体に電荷がたまらずに地中に流れ、雷の発生を抑制できる」という傾向をA氏は発見しました。
そこでさらに何度も実験を繰り返し、とうとう、「上部と下部の隙間をある一定の幅にすることで、上部と下部の隙間で放電が起こり、落雷現象が起こりにくくなる」という現象を確認することができました。
2008年
フランス・ポー大学での落雷実験
これまで何百年も続いていた常識を覆す全く新しい発想のこの製品が、この先、社会的信用を得て広く普及していくためには、権威ある研究機関で効果を証明することが必要だとA氏は考えました。
そこで、雷研究の権威・フランス ポー大学にて、雷を人為的に発生させることができる実験室を使って、従来型の避雷針との比較実験を行いました。それにより、「同一の条件下では、従来型避雷針には落雷しINT.A.R社の避雷針には落雷しない」という実験結果を得ることができたのです。 なお、ポ―大学での実験は、製品としての安全性をより多角的に検証するため、この後も複数回(2012年、2015年)にわたって行われています。
2010年
ビューロベリタス認証を取得
2010年5月20日付にて、INT.A.R社の製品がIEC規格に適合していることが第三者認証機関
「ビューロベリタス」により認証されました。(UNE-EN 62305-1/ 62305-2/ 62305-3)
IEC規格は、日本のJIS規格と内容面での整合性が図られている工業製品規格です。
2011年
改良・軽量化したJUNIORモデル、BABYモデルを発売
新しく開発された「JUNIOR」「BABY」が新しいラインナップとして加わりました。これにより、設置環境や予算ニーズに対応してより幅広い導入方法を提案できるようになりました。
同年12月16〜18日には、この新製品の発表展示会を兼ねた世界代理店会議をアンドラにて開催し、現dinnteco代表の技術者ハビエルや、日本を含む各国のディストリビューターが一同に会しました。
▲ 2011年12月 アンドラで行われたフェア。世界の正規代理店が集まりました。写真に映っているのは、A氏や後にdinntecoの代表となるハビエル、当時日本代理店であった会社の代表など。
このフェアで、後継機となるJUNIOR、BABYがお披露目されました。
2013年
INT.A.R社からdinnteco社へ
2013年、INT.A.R社は知的財産権、製造権、販売権を含む一切の権利をdinnteco社にライセンス供与することとなり、2013年10月7日付で契約が締結されました。INT.A.R社で製品を開発した開発者チームの一員であるハビエルが、このdinnteco社の代表を務めることになりました。製品名をdinntecoのイニシャルを冠した名称に一新し、世界の代理店販売網の拡大に取り組みました。
※dinnteco製品は、日本を除く世界37カ国では、2013年までは「PDCE」、2013年以降は「DDCE」の名称で販売されていますが、日本国内においては既に同名の商標が他社登録済であったため、「dinnteco(ディンテコ)」の名称で販売されています。日本国内で販売されている「PDCE」および「DDCE」という名称の製品は、弊社の製品ではなく他社の製品となります。お間違えのないようご注意ください。
▲ dinnteco社の製造工場。製造工程の一部には、日本製の工作機械も用いられています。
2013年
ビューロベリタス認証をdinntecoの名称で更新
第三者認証機関「ビューロベリタス」により、dinnteco製品がIEC規格に適合していることがあらためて認証されました。
また同年、ISOへの適合もビューロベリタスにより認証されています。
2013年
NATOカタログに掲載され、世界のNATO軍施設に導入
長きにわたる世界中での実績が認められ、dinnteco製品がNATOカタログに掲載されました。これにより、NATO加盟国各国の軍施設や国際空港などに、dinnteco製品が多数導入されるようになりました。
2018年
保護範囲内の落雷について、落雷被害を補償する落雷保険を製品に付帯
世界37カ国・15年にわたる実績が認められ、欧州大手保険会社との提携が実現。
メーカーが定める保護範囲内に万が一落雷があった場合に、それにより生じた人的被害および物理的損害を補償する落雷保険が製品に付帯するようになりました。
このように、製品の損壊を補償するPL保険ではなく、落雷の“被害を補償する”保険が付帯されたのは、dinnteco避雷針の大きな強みでした。
▲ 2017年6月 東京にて行われたdinnteco社と株式会社セイクン(現・日本総代理店)の会議の様子です。
2018年
アメリカの機能・安全性規格基準「UL規格」の適合認証を取得
ヨーロッパ発の国際基準であるIEC規格に次いで、アメリカの機能・安全性規格基準UL規格(UL96:雷保護システムの設置要件)への適合も2018年8月20日に認められました。
2018年
日本国内特許を取得
日本国内での販売数増加にともない、dinnteco製品は日本国内特許を取得しました。(第6342869号)
同製品の特許は、世界30カ国(※)でも取得されています。
※INT.A.R社時代に取得したものも含みます。
2018年
NETIS(国土交通省 新技術情報提供システム)に登録
国土交通省によって運営される、民間企業等によって開発された新技術の情報を共有及び提供するため
のデータベース「NETIS(ネティス)」にdinnteco製品が登録されました。
【NETIS登録番号】CB-180031-A
※現在、一時掲載中止。詳細はこちらより。
2019年
スペイン国立航空宇宙技術研究所(INTA)とマドリード・コンプルテンセ大学による研究
dinntecoは世界各地で導入され、今日に渡るまで、17年の長きにわたり素晴らしい成果を残しています。 並行して、その作用の仕組みについては今日も詳細な研究が続いています。
2018年には、スペイン国立航空宇宙技術研究所(INTA)とマドリード・コンプルテンセ大学のエウセビオ名誉教授による共同研究が行われ、翌年の2019年にはその研究結果が論文として発表されています。
この研究により、電圧がかかってもdinnteco避雷針の周囲に落雷現象が発生しない根源的な理由として、本体内での“アーク放電(共振)”による電荷の中和現象を観測することができました。
本体内で起こるアーク放電により、本体上部に集まったマイナス電荷は流れ出すように地中に移動します。その繰り返しによって、周辺の電界に影響を与え、マイナス電荷とプラス電荷が結合しにくくなり電路形成にいたらなくなると考えられています。その仮説を裏付けるべく、dinnteco避雷針を設置した7つの実証実験ポイントでは、実際に落雷現象が減っている事が確認できます。
2020年
「格付けジャパンフォーラム」にてトップランナー認証を取得
エビデンスに基く多様なテーマの評価・格付けを行っている『一般財団法人格付けジャパン研究機構』と、内閣官房国土強靭化推進室のガイドラインに基づき「レジリエンス認証」の普及と制度運営を行う『一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会』により、2020年2月28日、東京国際フォーラムで「格付けジャパンフォーラム」が開催され、dinntecoが避雷針部門における「トップランナー認証」を授与されました。