2021.06.24(木)
誘導雷の侵入経路と対策を直撃雷も含めて解説
近年、ニュースなどでもよく耳にする落雷の被害。
しかし、実際に「雷に打たれた!」という人はほとんどいません。
実は直接雷に打たれなくても、近くで落雷があった時に発生する「誘導雷」の影響で大きなトラブルに見舞われる可能性があるのです。
今回はその「誘導雷」がどのようなものなのか、分かりやすく説明します。
目次
そもそも「誘導雷」とはどんなもの?
よく耳にする「雷が落ちた」という状態を「直撃雷」と呼びますが、その被害は落雷場所だけに留まりません。
その落雷の影響で付近の電線や通信線に大きな電流が生じ、末端にある電子機器などにトラブルを引き起こすことを「誘導雷」といいます。
雷が自宅に侵入する?
雷はさまざまな経路を伝って自宅やオフィスの中に侵入し、家電や電子機器に影響を及ぼします。
電源
最も影響を受けやすいのが、コンセントなどの電源に直接接続されている家電です。
テレビや給湯器、エアコンなどは電源が切れるだけでなく故障する可能性が高いため注意が必要です。
回線
影響を受けるとダメージが大きいのが、電話回線やインターネット回線です。
パソコンやWi-Fiアクセスポイントなどを同時に接続しているケースが多く、被害は回線に留まらず機器の故障やデータの消失にまで及びます。
この他にもアンテナやアース線に誘導雷が発生し、トラブルを引き起こすケースもあります。
誘導雷の特徴
建物の近くに雷が落ちたとき、誘導電流の発生で、建物内の電気機器などが影響を受ける現象です。
誘導雷は配線や電話線などを伝って建物内に入り込み、電気機器の故障・破損など悪影響をおよぼします。
落雷が起こす二次的な現象ですが、そのぶん、発生する確率も高くなります。
誘導雷の電圧は、数キロボルト~数十キロボルト。
時間にすると、数十~数百マイクロ秒とほんの一瞬です。
しかし、影響は広範囲におよび、数キロ先の落雷からでも被害を受けます。
雷雲が遠くに行くまで、電線や通信線を通じて何度も侵入してくる可能性があります。
落雷による機器故障の多くは誘導雷が原因となっています。
誘導雷の原因
落雷が起きると、雷電流の影響で、近くの電線や電話線などに雷サージといわれる異常な電圧・電流が瞬発的に発生することがあります。
雷サージの発生原因は2種類あります。
1つは電磁誘導によるものです。
雷電流によって発生する電磁界のため、近くの電線などに電磁誘導を引き起こします。
その結果、ケーブルなどに雷サージが発生します。
もう1つは静電誘導によるものです。
雷雲の上部には正電荷、下部には負電荷が集まっています。
落雷後、雲底の負負荷がなくなることで、拘束を解かれた正電荷が電線へと誘導されます。
高電圧を引き起こし、雷サージを発生させます。
このほか、高い照度による電磁波も誘導雷に影響します。
誘導雷の被害
落雷後、電話がつながらない、パソコンの電源が入らない、エアコンが動かないといった状態になった場合は、誘導雷による損害を受けたと考えられます。
誘導雷の持っている電気エネルギーは、直撃雷と比べると小さなものです。
しかし、通常の電圧よりは大きく、電気機器にとっては決して小さくないダメージを与えます。
洗濯機や電子レンジなど電源線と接地線がつながっている機器やパソコン、テレビ、Wi-Fiなど電源と通信線がつながっている機器などが影響を受けやすくなります。
電源を切っていても意味はなく、コンセントやケーブルを抜かない限りは防げません。
遠くの雷でも被害が生じるため、故障が起きても原因が誘導雷だと気づかないケースもあります。
直撃雷の特徴
雷雲から直接、地上の建造物や大地に向かって発生する雷放電です。
一般的に落雷と呼ばれるものはこちらを指します。
落雷の電圧は数百万ボルト。
電流は1キロ~20キロアンペアが一般的です。
しかし、稀に200~300キロアンペアの雷電流も計測されることも。
なかには500キロアンペアを超えるものもあります。
直撃雷が発生する時間は数百マイクロ秒から数ミリ秒と短時間です。
直撃雷による雷サージは電圧・電流どちらも高いのが特徴です。
そのため、誘導雷と比べて被害は大きくなる傾向があります。
直撃雷の被害
直撃雷は落雷した対象に大きな被害をおよぼします。
人体に落雷した場合、過大な電圧や電流からくるショック症状や心室細動により、70%以上の確率で死亡するとされています。
避雷針のない建造物に落ちると、建物の一部が壊れたり、火災が起きたりする恐れがあります。
建物の鉄骨などに雷電流が流れて発生する電磁力も構造物に損害を発生させます。
電気設備なら、絶縁破壊を引き起こし、破損や焼損を起こします。
直撃雷がもつエネルギーは膨大です。
そのため、例えどのような対策をとっていたとしても、直撃雷で生じる被害をゼロにすることは不可能とされています。
「誘導雷・直撃雷」を知って対策することで被害を最小限にできる
いかがでしたでしょうか。
この記事を読んでいただくことで、あまり聞き慣れない「誘導雷」についてご理解いただけたと思います。
近くに雷が落ちた時は、できる範囲で家電や電子機器のコンセントを抜いておくと安心です。
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